一年分の思いをこめて

とりあえず本格的にガンバを応援し始めてから最悪のシーズンが終了しました。
降格した2012年ですら最終節までチームは必至に戦っていたのですが…
シーズンの半分近くをドブに捨てるという、ある意味とても贅沢な2017年のガンバ大阪をまとめてみました。


ラストピースを欠いたチーム編成

今シーズンのガンバは弱点と言われ続けたCBに主力級のファビオと若手の成長株の三浦を獲得し
三浦はキャンプから主力組に抜擢されるなど想定以上の活躍を見せついには代表にまで食い込むまでに至った
攻守のバランスと運動量に定評があった阿部、大森の移籍に伴い泉沢、井出というどちらかというと攻撃重視の補充を行い
攻撃に定評のある今野と井手口をインサイドハーフ(IH)に上げるなど今年のガンバは攻め勝つという印象を受けた。
しかしラストピースともいえた点取り屋FWの獲得に失敗し長沢とアデミウソンの更なる成長に期待せざろうえない状況を
軽く見ていたのが命取りになった。
序盤こそ今野、井手口、倉田、そして急速に存在感を増してきた堂安を核に中盤の選手の踏ん張りが攻撃を支えていたが
その堂安がシーズン半ばに欧州移籍、泉沢や井出でこの穴を埋める事は出来ずガンバの攻撃の基本形は瓦解する事になった。
更に必要であったFW陣もあいかわらず個人能力頼みの単発攻撃ばかりで成長の兆しを見せず、夏になってようやく獲得した
ウィジョもそれを打開する決定力は持ち合わせていなかった。
また長谷川監督は攻撃に関しては大部分を選手に任せるスタイルなので個で打開できるタイプのFWが必須なのだが
攻撃的なサッカーを目指していたにもかかわらず最も重要とも言えるラストピースの補強を怠ったのは怠慢と言われても
仕方のない事だったと思います。
タイトルを本気で獲る気があるのであれば今シーズンの堂安移籍は絶対に留意させなければいけなかった状況にも関わらず
フロントはセレモニーで送り出すというお花畑ぷりを披露、見ている側としてはようやくスタメンに定着してこれから
という時にお別れ会を見せられてもなんの感慨も沸きません。
個人的にはこの時点で今年のタイトル獲得は無いと確信しました。



責任回避の監督人事

上記の編成面の失敗で下降線をたどる中、フロントは契約最終年度の長谷川監督と来期以降の契約を結ばないと発表しました。
通常はノビシロが無いと判断された場合の監督人事は「更迭」であり「契約更新はしない」などという中途半端な決定は
通常シーズン終盤で行われるものです。
発表は監督の意向とのことで、彼からしてみればこれでチームが発奮するのではという期待もあったのかもしれませんが
発表直後の倉田のコメントからして選手間での温度差がかなりあるのは明白で、ほぼ同じタイミングでブラジル人選手2人が
怪我で離脱するなど「偶然なのかな?」という状況を生んでしまいました。
これにより攻守の柱を失ったガンバの失速はより加速し、発表以降未勝利という快挙を達成してしまいます。
なんというか…どちらかというと長谷川監督は選手のモチベーションの管理が上手いタイプだと思っていただけに
この結末は本当にガッカリしました。
んま堂安がさっさと海外移籍したあたり厳しく接した後のフォローなんてロクにしてなかったんだろうなってのが
容易に想像がつきますが。

・早い段階でどうにかするのであればスパッと頭をすげ替える
・更新しないのであればギリギリまで監督本人への打診も控える
これが正しい二択だったのですが「ガス抜きしたい」「でも責任は取りたくない」というフロントの逃げの姿勢が
この最悪な選択肢を選んでしまった最大の理由のではと思わずにはいられません。



緊張感を欠いてった指導者

この最悪な選択は選手のみならず監督、コーチ陣にも影響を及ぼします。
また悪い事に発表後早々にFC東京への来季契約まで決まってしまった監督からは緊張感のカケラすら無くなってしまい
壊滅的なチーム状況の中でも試合中の表情は緩みっぱなしでインタビューでも他人事のようなコメントに終始するありさま。
ルヴァンでのダービマッチ敗退後にセレッソに対して「僕らの分も頑張って欲しい」なんて、ガンバとセレッソのライバル関係
を認識していたなら絶対に出せないコメントです。
シーズン終盤の負のスパイラルに苦しむ選手に対して効果的な処方せんを提示できず、ボールを受けてから次を考るかのような
素人臭いプレイの連続は本当にまともなトレーニングが行われているのか疑問に感じるばかりでした。
求める戦力をフロントが用意できなかったという前提があるにせよ、結局はブロックで手堅く守るという
自身のベース戦術の枠から5年かけても進化する事はできなかったのは残念でなりません。



硬直化したトップとU2

昨年から始まったU23をJ3に参加させるという施策ですが、昨年は井手口や堂安の台頭という大きな成果を出しました。
しかしその反面トップチームの中堅選手の調整や酷い時にはポジションテストの場としても使われたりなどしており
若手の出場の機会を奪うような活用をするのはいかがなものかという点を考慮し今年はトップとU23きっちり分けて
運営するという方法をとりました。
しかしこの「きっちり」が極端すぎてカテゴリー間の柔軟な行き来が無くなった影響でトップに上がったスタメン未満の若手は
試合経験の場を無くし、U23は人数不足の際には更に下のユースから選手を借りるという
本末転倒な状況を生んでしまいました。
これで結果を出せと言うのも無理な話でU23はダントツの最下位を爆進しましたが宮本監督の丁寧な指導と選手の頑張りで
シーズン終盤は互角の戦いまで出来るところまでチーム力を高めてきました。
正直な所これまで宮本氏の監督としての力量に計りかねていた所もあったのですが、このまま経験を積んでいけば
将来が楽しみな逸材である事がよくわかりました。
こちらに関しては来季は分離制ををやめて練習や試合出場など柔軟に対応するとの方針転換が発表されたようなので
宮本監督の手腕と含めて更なる飛躍を期待したい所です。



んで来年のガンバはどうなるのか?

シーズン終了の翌日12月3日に元セレッソでの監督経験のあるクルピ氏が来季の監督になると発表しコーチ人事も
全て刷新される事になりました。
これで全てがいい方向に動くとは思いませんが閉塞感が満ちていたチームを変えてくれることは間違いないでしょう。
また監督として修業中の宮本氏にとっても海外の経験豊富なクルピ新監督からは学ぶ事も多いかと思います。
「ガンバらしいサッカー」はいったん封印し「新しいガンバサッカー」を一から生み出していく気持ちで取り組んで欲しい。
おそらく来季はタイトル争いどころか今年以上に苦しい星勘定になる事も覚悟しています。
その中で今後に繋がる可能性を感じる内容を見せてもらえれば十分及第点だと思います、もちろん降格しないことが大前提ですがw

長谷川監督が残した功績には十分感謝しているのですが、それすら霞んでしまいそうなくらいの酷い晩節と
ガンバのIHシステムからヒントを受けた日本代表のハリル監督が井手口というラストピースでもって
ハリル式IHシステムを完成させてしまったというものすごい皮肉がどうしても許せない思いに繋がってしまいます^^;
レーニング時間に圧倒的差があるはずの代表とクラブで戦術面の熟成に遅れとるってぶっちゃけありえない。