一年分の思いをこめて

とりあえず本格的にガンバを応援し始めてから最悪のシーズンが終了しました。
降格した2012年ですら最終節までチームは必至に戦っていたのですが…
シーズンの半分近くをドブに捨てるという、ある意味とても贅沢な2017年のガンバ大阪をまとめてみました。


ラストピースを欠いたチーム編成

今シーズンのガンバは弱点と言われ続けたCBに主力級のファビオと若手の成長株の三浦を獲得し
三浦はキャンプから主力組に抜擢されるなど想定以上の活躍を見せついには代表にまで食い込むまでに至った
攻守のバランスと運動量に定評があった阿部、大森の移籍に伴い泉沢、井出というどちらかというと攻撃重視の補充を行い
攻撃に定評のある今野と井手口をインサイドハーフ(IH)に上げるなど今年のガンバは攻め勝つという印象を受けた。
しかしラストピースともいえた点取り屋FWの獲得に失敗し長沢とアデミウソンの更なる成長に期待せざろうえない状況を
軽く見ていたのが命取りになった。
序盤こそ今野、井手口、倉田、そして急速に存在感を増してきた堂安を核に中盤の選手の踏ん張りが攻撃を支えていたが
その堂安がシーズン半ばに欧州移籍、泉沢や井出でこの穴を埋める事は出来ずガンバの攻撃の基本形は瓦解する事になった。
更に必要であったFW陣もあいかわらず個人能力頼みの単発攻撃ばかりで成長の兆しを見せず、夏になってようやく獲得した
ウィジョもそれを打開する決定力は持ち合わせていなかった。
また長谷川監督は攻撃に関しては大部分を選手に任せるスタイルなので個で打開できるタイプのFWが必須なのだが
攻撃的なサッカーを目指していたにもかかわらず最も重要とも言えるラストピースの補強を怠ったのは怠慢と言われても
仕方のない事だったと思います。
タイトルを本気で獲る気があるのであれば今シーズンの堂安移籍は絶対に留意させなければいけなかった状況にも関わらず
フロントはセレモニーで送り出すというお花畑ぷりを披露、見ている側としてはようやくスタメンに定着してこれから
という時にお別れ会を見せられてもなんの感慨も沸きません。
個人的にはこの時点で今年のタイトル獲得は無いと確信しました。



責任回避の監督人事

上記の編成面の失敗で下降線をたどる中、フロントは契約最終年度の長谷川監督と来期以降の契約を結ばないと発表しました。
通常はノビシロが無いと判断された場合の監督人事は「更迭」であり「契約更新はしない」などという中途半端な決定は
通常シーズン終盤で行われるものです。
発表は監督の意向とのことで、彼からしてみればこれでチームが発奮するのではという期待もあったのかもしれませんが
発表直後の倉田のコメントからして選手間での温度差がかなりあるのは明白で、ほぼ同じタイミングでブラジル人選手2人が
怪我で離脱するなど「偶然なのかな?」という状況を生んでしまいました。
これにより攻守の柱を失ったガンバの失速はより加速し、発表以降未勝利という快挙を達成してしまいます。
なんというか…どちらかというと長谷川監督は選手のモチベーションの管理が上手いタイプだと思っていただけに
この結末は本当にガッカリしました。
んま堂安がさっさと海外移籍したあたり厳しく接した後のフォローなんてロクにしてなかったんだろうなってのが
容易に想像がつきますが。

・早い段階でどうにかするのであればスパッと頭をすげ替える
・更新しないのであればギリギリまで監督本人への打診も控える
これが正しい二択だったのですが「ガス抜きしたい」「でも責任は取りたくない」というフロントの逃げの姿勢が
この最悪な選択肢を選んでしまった最大の理由のではと思わずにはいられません。



緊張感を欠いてった指導者

この最悪な選択は選手のみならず監督、コーチ陣にも影響を及ぼします。
また悪い事に発表後早々にFC東京への来季契約まで決まってしまった監督からは緊張感のカケラすら無くなってしまい
壊滅的なチーム状況の中でも試合中の表情は緩みっぱなしでインタビューでも他人事のようなコメントに終始するありさま。
ルヴァンでのダービマッチ敗退後にセレッソに対して「僕らの分も頑張って欲しい」なんて、ガンバとセレッソのライバル関係
を認識していたなら絶対に出せないコメントです。
シーズン終盤の負のスパイラルに苦しむ選手に対して効果的な処方せんを提示できず、ボールを受けてから次を考るかのような
素人臭いプレイの連続は本当にまともなトレーニングが行われているのか疑問に感じるばかりでした。
求める戦力をフロントが用意できなかったという前提があるにせよ、結局はブロックで手堅く守るという
自身のベース戦術の枠から5年かけても進化する事はできなかったのは残念でなりません。



硬直化したトップとU2

昨年から始まったU23をJ3に参加させるという施策ですが、昨年は井手口や堂安の台頭という大きな成果を出しました。
しかしその反面トップチームの中堅選手の調整や酷い時にはポジションテストの場としても使われたりなどしており
若手の出場の機会を奪うような活用をするのはいかがなものかという点を考慮し今年はトップとU23きっちり分けて
運営するという方法をとりました。
しかしこの「きっちり」が極端すぎてカテゴリー間の柔軟な行き来が無くなった影響でトップに上がったスタメン未満の若手は
試合経験の場を無くし、U23は人数不足の際には更に下のユースから選手を借りるという
本末転倒な状況を生んでしまいました。
これで結果を出せと言うのも無理な話でU23はダントツの最下位を爆進しましたが宮本監督の丁寧な指導と選手の頑張りで
シーズン終盤は互角の戦いまで出来るところまでチーム力を高めてきました。
正直な所これまで宮本氏の監督としての力量に計りかねていた所もあったのですが、このまま経験を積んでいけば
将来が楽しみな逸材である事がよくわかりました。
こちらに関しては来季は分離制ををやめて練習や試合出場など柔軟に対応するとの方針転換が発表されたようなので
宮本監督の手腕と含めて更なる飛躍を期待したい所です。



んで来年のガンバはどうなるのか?

シーズン終了の翌日12月3日に元セレッソでの監督経験のあるクルピ氏が来季の監督になると発表しコーチ人事も
全て刷新される事になりました。
これで全てがいい方向に動くとは思いませんが閉塞感が満ちていたチームを変えてくれることは間違いないでしょう。
また監督として修業中の宮本氏にとっても海外の経験豊富なクルピ新監督からは学ぶ事も多いかと思います。
「ガンバらしいサッカー」はいったん封印し「新しいガンバサッカー」を一から生み出していく気持ちで取り組んで欲しい。
おそらく来季はタイトル争いどころか今年以上に苦しい星勘定になる事も覚悟しています。
その中で今後に繋がる可能性を感じる内容を見せてもらえれば十分及第点だと思います、もちろん降格しないことが大前提ですがw

長谷川監督が残した功績には十分感謝しているのですが、それすら霞んでしまいそうなくらいの酷い晩節と
ガンバのIHシステムからヒントを受けた日本代表のハリル監督が井手口というラストピースでもって
ハリル式IHシステムを完成させてしまったというものすごい皮肉がどうしても許せない思いに繋がってしまいます^^;
レーニング時間に圧倒的差があるはずの代表とクラブで戦術面の熟成に遅れとるってぶっちゃけありえない。

4月のまとめ

ガンバ周辺でいろいろあった4月ですがなんといってもコレでしょうね。


「長谷川監督がついに遠藤ファーストに見切りをつけた」


今年はキャンプから3ボランチやそこから派生した3バックという、希代のゲームメーカー遠藤を
いかに活かしていくかという事を最優先にチームを構築してきました。
F東や浦和といった強豪相手にも互角以上の戦いを見せてはいたものの、それが機能するかどうかは
その核となる遠藤のコンディション次第なため連戦が続いた4月は試合を重ねるにごとに酷い有り様になりました。
いくら負担を軽くしたとは言え遠藤は今年38歳、当たり前の話です。
特に4バック・ダブルボランチで望んだアデレード戦では前半の中ごろまではらしい動きを見せていたものの
40分ごろには完全にペースダウン、後半も点を取りにきたアデレードのペースに対応できず
一時逆転を許してしまう醜態を晒してしまいました。


一方、遠藤の休養のためにテスト的に始めたオーソドックスなBOX型442が思いのほか機能してしまい
これまで燻っていた堂安、泉沢、藤本を初めIHへの順応に苦戦していた井手口も得意とするポジションに戻り息を吹返し
相方となった倉田を中心とした早いチェックと運動量をベースとしたスピード感溢れるサッカーをしました。
最下位の大宮だけではなくJ屈指の守備力を誇る横浜にも通用してしまった以上、分家であったはずのこの布陣が
本家を乗っ取ってしまうのも不思議な話ではありません。
これにアデミや今野が戻ってくれば更なるノビシロも期待できます。
懸念をあげるとすればこの運動量を必要とするシステムで1年乗り切るのはまず無理なため
とくに夏場にかけてはそれを必要としない戦い方も必要となってきます。
その時にコンディションを整えてきた遠藤が存在感を魅せる事ができれば今年のリーグを勝ち取れると確信しています。


今回の流れは一見、ケガ人が続出し苦肉の策のような原点回帰で「幸運」にも息を吹返したように見えるのだけど
ここまで上手くいくものかねという気がせずにいられません。
藤本と堂安の相性の良さは昨年のアンダーで実証済みですし、泉沢も本来このポジションで頭角を現してきた選手
キャンプでも遠藤のいないBチームは442でやらせていたり等々
監督も口では「遠藤ファースト」と宣言しつつちゃっかり保険はかけていたんでないかと思うのは買いかぶりすぎだろうか?
なんだかんだ言ってACLはとれればラッキーというスタンスなのは明らかだしね。

悪くないスタートを切れたかな?

ACLとリーグ戦を交えた最初の4連戦終了しました。
一時はどうなる事かと思いましたが結果は2勝1敗1分け、まあ悪くない結果です。
格下と思われていた甲府と散々な内容だった済州のインパクトが強いので素直に喜ぶ事は難しいのですが
逃げ切り戦略だと思われていた3バックが実は3ボランチシステムの改良型だと柏戦で証明してくれたので
現状を見据えて手を打っている監督とそれに答えている選手に今後の更なる成長を期待できると感じています。


ボランチの懸念は遠藤の両脇のスペースを使われることで、4バックでは今野と井手口という希代の狩人が
それを埋めつつ攻撃まで絡むという無茶なミッションを強いられていました。
相手の前線に強力な選手がいれば当然厄介な事になりますし、これをこの2人だけに一年まかせるというのも
更に厳しいミッションです、ハッキリ言って不可能っていうか井手口が早速リタイアしてしまっていますw
3バックシステムでは中盤の選手が間に合わない時はサイドのCB2人が前に出てそのスペースを埋め
ボランチの守備負担を軽くする役割を担っています。
これによりボランチインサイドハーフといってよいほどに攻撃へウェイトを置く事が可能になりました。
更には両WBが高い位置を取り守から攻への切り替え時の攻撃選択の幅を広げスムーズにし
サイドの崩しから長沢の高さを活かすという攻撃がより威力を増す結果となっています。
また倉田のIH、初瀬のWB起用により懸念だった右サイドの攻撃が活性化しバランスのよいサイド攻撃
セットプレイのバリエーションも増え、中盤を今野、倉田、井手口で回せる計算が立ったので
現状のメンバーでも1年乗り切れる可能性も大きくなりました。


とはいうものの、3バックシステムの宿命とも言えるWBの裏のスペースを付かれた時の守備にはまだまだ課題があり
特に絞って守る癖が付いている藤春がサイドへのスペースを埋める状況判断がきちんと行えるようになれるか
経験の乏しさから起因する初瀬の全体的に軽い守備等の改善がこのシステムの完成度を左右する事になりそうです。
残る課題としては長沢のバックアップ候補と新加入の泉沢をどこで活かすのかの2点。
現状長沢のタスクをこなしてくれそうなFWはいませんし、彼がいなくなる事でどうなるかは済州戦で散々思い知らされました。
ホントに新外人FWは来るのでしょうか…そのピースさえ埋まれば相当に違ってくるんですけどね。
正直アデミに関しては堂安との使い分けでなんとかなるんじゃないかという気がします。
次に泉沢の置き場所、守備負担の軽くなった3バックの中盤ならばやれそうな気もしますが、彼の特性からすればWBでの起用も
面白いと思うのですがこのままベンチに置きっぱなしにするにはあまりにも勿体ない選手だけに
彼をどのようにガンバサッカーに組みこむのか、来週に対戦する強豪3クラブにこの戦術が通用するのか
生まれつつある良い流れを本物へとする結果を期待したいところです。


長々と書きましたがとにかく若手頑張れ、そろそろ堂安のJ1初ゴールが見たいぞってことですわw
よろしくお願いしますデス。

まずはACLプレイオフ決勝戦を制覇!

2017年のガンバ大阪がついに始まりました。
今年はキャンプからじっくりチェックしていた分、期待も不安もひと一倍です。
今日の日が待ちきれなくなって週末に川崎の練習試合も見に行ってしまったくらいですw


試合結果はご存知の通り3−0の完封勝利。
力の差を考えれば順当な結果ではありますが、新しいメンバーと新しい戦い方での初めての公式戦
しかもミスの許されない一発勝負においてきっちりと結果を残せたのは充分に評価出来る事だと思っています。
特に前回の記事で猛プッシュした三浦選手が期待以上の結果を出してくれた嬉しさと
井手口の8番をすでに注文していた申し訳なさがごっちゃになって変なテンションになっていましたw
キャンプで快く去年のユニにサインしてくれた時点で今年も井手口のユニするのは決まっていたので
本当にごめんなさいです、でも今日の活躍で飛ぶように2番ユニ売れると思います。
それくらいガンバサポは本物のCBの登場に飢えていましたから。
これで21歳なんですぜ、清水には当分足を向けて寝れませんね。


細かい所を見ればトラップの精度、プレイスピードや連携面にまだまだ課題が見えますがそれは今後の伸びシロということで
ポジティブに捉えたいと思います。

ガンバ沖縄キャンプレポ その2

本日は昨日に引き続いてキャンプ見学を通じて気になった選手をレポートします。


■三浦 弦太 DF
 今年清水から加入してきた五輪代表候補も経験したCB、清水ではチーム事情からSBでの出場が多かったが
 (それがガンバにくるキッカケになっている気がする)
 ガンバでは本職のCBしかもラインコントロールを任されるDFリーダに挑戦中。
 TMでも格下相手とはいえ落ち着いたプレイぶりを見せ周囲へのコーチングもこまやかに行っており
 現時点ですでに昨年レギュラーであった丹羽と遜色のない内容で
 ガンバでの初の対外試合で多少の気負いもあって不思議はないのにこの落ち着きっぷりは好印象でした。
 紅白戦でも新加入のファビオと常に組んでおり、昨年の丹羽&金との競争が早くも激化しています。
 今後レベルの高い相手に同じようなプレイが出来るかが未知数ですが次のTMの結果いかんでは
 このまま先発定着も充分にありえる状況です。
 そうなれば今年のガンバは大きく変わりますよ。
 ことし先物買いしたい人は背番号2のユニフォームを注文しましょう、オススメです。
 

井手口陽介 MF
 もう言わずと知れたガンバ若手生え抜きの最先鋒ともいえる存在。
 攻撃的な役割が多く要求される今年のポジションは本来トップ下を主戦場としていた彼には
 まさにうってつけと言ってよいのではないでしょうか?
 特にTM3点目での逆サイドからのクロスに飛び込んで決めたシーンは
 彼の新たなる一面を見せてくれたと感じずにはいられません。
 その反面、最終ライン付近でクソみたいなパスミスであわやという場面を作られるポカ癖も健在で
 せめてこれだけは今年中に改善して欲しいです。
 チャレンジしていい所でならミス覚悟でどんどんやってくれていいんですが…


■高木 彰人 FW
 紅白戦でひときわよい動きをそのままTMの2得点で結果にするなど
 「今年は得点にこだわる」という宣言通りのプレイを見せてくれています。
 万能型FWの宿命とも言える便利使いで2列目をやる事が多い昨年でしたが
 アンダーは中盤の選手を多く獲得したのでFWに専念できるでしょうし
 呉屋、代表でチームを離れる機会が多くなるであろう堂安がいないシーズン序盤に
 どれだけ存在感を見せてくれるのか楽しみです。
 代表監督が選出を悩むくらいの活躍を期待してます。


■初瀬 亮 DF
 若手でもう一人の注目選手がこの人。
 左右どちらのポジションで両足が使える器用さと精度の高いパス能力が持ち味と
 まさにサイドバックをやるために生まれてきたかのようのな才能の持ち主。
 今年はチーム戦術もあいまってゴール前に早めに放り込むクロスに加えて
 センターラインからの逆サイドの突撃隊長平尾へのロングパスをバシバシ決めていて
 視野の広さと新たな可能性をアピールしておりました。
 個人的には2017年一番の期待の選手です。
 今年はスピードとタフネスで不動の地位を築いている藤春との対決が見物ですが
 まずはワールドユースでピッチの内外で世界中にインパクトを与えてください。


この他にもサイドのスペシャリストの風格漂う泉澤に若手では堂安、市丸と
確実に力をつけてきていると感じる選手が多数見られてホントに楽しいキャンプ見学となりました。
来年もぜひ沖縄でシーズンの展望を妄想しながらガンバを愛でる機会が訪れる事を願っております。

ガンバ沖縄キャンプレポ その1

少し遅くなりましたがガンバ大阪の沖縄キャンプレポの印象と今後の展望に向けてまとめます。
第一印象としては昨年までのいわゆる「SH過労死サッカー」からガラリと変えて
ガンバの強みである中盤のクオリティの高さを活かそうとするサッカーへの転換を予感させます。
これまでの小手先だけの変更でなんとかしようとしていた監督とは思えないほどの大胆な改革です。


24日のTMでは先発組は4−3−2−1のクリスマスツリー型フォーメーションで
長沢ワントップにシャドーに倉田とアデミウソンボランチに今野、遠藤、井手口
最終ラインは左から藤春、ファビオ、三浦、ジェソク
キーパーは東口、藤ヶ谷がケガのため新加入の鈴木
となっており、サイド攻撃は基本SBと同サイドのボランチが担当、前線の3人はそれぞれ近い位置取りで
中央からの崩しを担当とわりとハッキリとした役割分担をおこなっています。
倉田とアデミウソンはお互い通じあうものがあるのか早くもかなりよい連携を見せており
彼ら2人だけでかなりの決定機を演出していました。
ボランチは3人がつるべの動きで一人が上がったら残り2人はダブルボランチ的な位置取りでカバーと
両サイドの今野と井手口はインサイドハーフと言っても差し支えない感じでガンガン上がって攻撃参加します。
中央の遠藤は2人のカバーとCBのボール回しのフォローなど少し下がった位置での黒子的な役割を担っていました。
特に印象的だったのがセンターライン付近からの逆サイドへのロングパスを多用し、これまでのガンバには
あまり見られなかった大きな展開での攻撃を意識していた点です。
これに見事に順応できていたのが右SBのオ・ジェソクで絶妙な位置取りから何本もボールを引き出し
井手口とのコンビで相手サイドへの進行を成功させていました。
守備に関しても長沢と倉田がハイプレスをしかけて出しどころを限定し井手口や今野が遠藤と連携して潰し
最終ラインも高い設定で出来るだけ前で潰すという意図を感じる攻撃的な守備を行っており
印象としては現メンバーの特徴にあったサッカーを志向しようとしていると感じます。


懸念材料としては
中盤のシャドー2人とボランチ3人が頻繁にポジションチェンジを行うので、意図しないタイミングでボールを奪われた際
相手にあっさりとカンターを決められてしまう脆さがあるんでないかという点。
この試合では最終ラインがなんとか踏ん張っていたが果たしてこれがJ1やACLの連中にも同じように出来るのだろうか?
次に現メンバーの特徴に則していすぎているが故にこのメンバー以外で同じようなサッカーが出来るのかという点。
特に長沢とボランチの3人のうち一人でも欠けると厳しいんじゃないかと感じずにはいられません。
CFなどはタイプ違いの呉屋ですらケガで実戦復帰が遅れており控えになる候補すらいない状態です。
(現に控えメンバーでのTMではオーソドックスなBOX型442でやっていました)
そしてこの戦術ではシャドーの決定力がかなり重要になってくるのですがアデミウソンはイイとして倉田の方はご存知の通りの
しなぽてシューターなので(この試合でも決定的なものを3つは外していた:;)
彼が点取り屋として覚醒してくれるか、泉澤や堂安が彼に代わる存在へと成長するかがタイトル争いには必須になるかと思います。
キーパーも第一GKの東口がようやく練習に参加できる状態まで回復、藤ヶ谷はいまだ練習にも顔を出していない状態で
来月のACLプレーオフはどうやら新加入の鈴木がスタメンとなりそうで、昨年J2ではほぼスタメンで出ていたとは言え
加入後いきなりACLデビューというのは見ている側としては心配せずにはいられません。
最後に先発メンバーの中で唯一浮いてしまっていた藤春について。
逆サイドのオ・ジェソクがかなりよかった反面、彼はいつものボールをいったん足元に止めてしまう受け方が抜けきれず
攻撃の蓋となるケースが多く、途中から同サイドのCBファビオが彼にボールを回さなくなるなど一時はどうなる事かと思われましたが
三浦の修正指示でスムーズなオーバーラップが出来るようになり後半途中からは彼らしいプレイも見せるようになりました。
一方、控え組の同ポジションの初瀬が大きなサイドチェンジのパスを得意とする選手だけに
今年試みようとしているサッカーへの親和性は藤春よりも高いように感じます。
一瞬のスピードの藤春を使い続けるのか、技術的に秀でている初瀬を抜擢するのか長谷川監督が今後どのような選択を行うのか
とても興味があります。


まだキャンプも折り返しの段階のため今後どのような変化をするのかまだまだわかりませんが
長谷川監督が契約最終年度を迎えて新たな形を模索しようと勝負を賭けているのがよくわかります。
間違いなく言えるのは「去年よりは見ごたえのあるサッカーが観られそうだ」という点でしょうか。
巷では来年の宮本監督に向けての花道が出来上がりつつあると噂されていますが
現監督としては「悪いけどあと2〜3年はアンダーで修業してよ」と言えるような確固たる結果を残したい所でしょう。
応援する側としてもそんな未来が来る事を心の底から願っております。


明日はキャンプで気になった選手を中心にレポートする予定です。

2016年ガンバ大阪と来期について

今年のガンバ大阪の1年が終了したという事で今年の振り返りと来年の展望について少々語りたいと思います。


今年はガンバ大阪長年の夢であった専用スタジアムの完成もありそれに相応しい結果を期待せざろうえない1年でありましたが
終わってみれば監督・フロントの見込みの甘さを否定できない結果となってしまいました。
まずはシーズン前からいわれていたCBの薄さ
これまでブロック守備でCBの対人守備の弱さをカバーし東口という一級品のGKを加入させる事で
「数字上は」Jトップクラスの守備力を実現しその結果として2014年は国内三冠と言う最高の結果を残しました。
しかし今にして思うとコレが選手に対する過剰な信頼へと繋がってしまい、本来繕わないといけなかった綻びを
放置してしまったように思えます。
特に今年に至っては開幕当初は昨年までとは違う繋いで攻めるサッカーを模索していましたが
対人能力も足元にも難がある丹羽をそのままCB軸に添えてしまう愚行と新スタジアムで安定しない芝質であっさり破綻しました。
またワントップでは本来の力を出せないパトリックと代表を意識した宇佐美のSHに起用に拘った結果
J最強2トップとまで言われた二人は見る影もない状態になってしまいました。


そして2ndステージでは去年までのサッカーに戻し一応の結果は出すものの
ルヴァン杯決勝では浦和にズタボロにされるなどもうこのやり方も限界が見えていました。
そのなかで生み出されたのがハイプレス戦術でこれが上手くハマったのが新潟や川崎戦でした。
そしてミニキャンプ中に遠藤をアンカーに置く3ボランチなどもテストし新しい戦い方を模索しています。
んで先の天皇杯になるのですが、攻撃に関しては特に後半に試みた3ボランチはかなり機能し
マリノスよりも遙かに多くの決定機を生み出し可能性を感じさせてくれました。
が、いかんせんこのやり方をするにはCBの丹羽と金が力不足でした。
特に前半はファーストプレイで決定機を作られすっかりビビってしまった丹羽がラインを上げられなくなり
中盤にどでかいスペースを作ってしまいそこを斉藤や前田にやりたい放題やられました
ボランチの今野や井手口の頑張りがなければ前半で勝負が決まっていても不思議ではなかったと思います。
後半はそれを修正し高いライン取りでプレスを活性化しガンバが完全に主導権を握っていましたが
金がボールを取られた斉藤の対応を誤りPKを与え、さらに決勝点はカウンターでラインを下げた
一番余裕があるはずの丹羽がボールウォッチャーになり天野のオーバラップへの対応が遅れ中途半端なブロックで決められました。
GKの藤ヶ谷はシュートに備えてニア側をケアしているのに丹羽もニアの方をブロックしにいってるなど
チグハグさを感じずにはいられない対応でした。
(おそらく位置関係的に藤ヶ谷の判断の方が正しいと思われます)
マリノスのCB2人との差がそのまま結果に繋がったと言ってもよい試合だったと思います。
実際リーグ終盤で機能していたハイプレス戦術もCBが岩下・金の組み合わせのみで
これが丹羽・金になった天皇杯清水戦では相手が控え中心のメンバーにもかかわらず延長後半まで点が取れなかったという点においても
彼がこの戦術に向いていない事を証明していると思います。


今回の3ボランチと今噂に上がっている獲得選手の傾向からして長谷川監督は来期433をメインにした戦術を考えているものだと思います。
そこでネックになるのがCBの2人、今よりも前で勝負が出来る対人守備とラインコントロールをするセンスが必要になってきます。


CBに関しては名古屋の田口を取りに行っているところをみると来期は今野をCBにする事を考えているのではないかと思われます。
高さとラインコントロールの面では不安はあるものの対人守備と足元の技術は確かなモノがあります。
CBに余裕があればそれを補完するための3ボランチに拘る必要も薄くなり戦術の柔軟性も高くなります。
次にCFですが433をやるのであればアデミウソンはウイングをさせたほうがより輝けるのではないかと感じています。
そうなるとCFには長沢となりますが、能力の高さを感じるものの一年通して出場がない上に彼の代わりとなれる選手がもう一人いないと
不安が残りますので、ここには長沢と同等以上のCF適性のあるFWを獲得して欲しいところです。
今の所、クラブがこのポジションにオファーを出していると言う情報はありませんが外国人枠が1つ余っている以上
ここに有力な助っ人選手をあてがって欲しいモノです。


来年は長谷川監督は何が何でもでも結果を残さなければいけない契約最終年。
今年の見通しの甘さを反省し、名前ではなく新しいやり方で力を発揮できる選手を優先的に起用し
選手にあわせてやり方も微調整する柔軟性が発揮できるかどうか
そしてクラブはその監督のために最高の環境を用意できるか
今後数年ガンバが中位ランクに落ちてしまうのか強豪であり続けられるのかの分かれ道になる2017年だと思います。


いやはや、どうなることやら。