マルドゥックスクランブル「圧縮」のかんそう

自身の作家史本も出すなど最近なにやらブイブイいわしている冲方丁原作のSF小説の映画化ですが
当所OVAとして制作を担当していたGONZOの倒産で一度頓挫しかかった企画ながら
有志が制作を続け3部作の劇場作品として生まれ変りました。
んでもって、僕は原作を全く読まずに観賞に行ったという事を踏まえての感想です。


世界設定そのものは今やありきたりなSF的世界ながらも背景美術の色使いが独特なため
新鮮な印象を与える映像となっており、その上に乗る動画のクオリティーも高いので
アニメ映画の映像レベルとしてはかなり高いものがありました。
少女バロットと万能兵器ウフコックとの心の交流とそれによる少女の心の救済
迫り来る危機、襲い来る敵を打ち倒すアクションどれも水準以上だったと思います。


思う、思うのですが…


どの要素も概視感があり「そうきたか」という良い意味での裏切りが無いのが残念。
あとは65分と短い尺のためかバロットの心の変化や戦闘へ巻き込まれる過程が少し強引に感じてしまった。
証人を保護するためとはいえ超高性能の人体強化と万能兵器をただの元娼婦の少女にポンと与えてしまう点も
不自然さをぬぐえきれなかったし(もしかしたら後の展開でその説明がされるのかもしれませんが)
これは原作の構成がそうなのかもしれませんが、この第一部は「そこで終わるの?」という〆をしてしまうので
普通の映画と思って見に行くと「なんじゃいそら」という気持になってしまいます。
上記の強引さや説明不足なところなどOVAとしてならこれでも問題はないけれど、
劇場作品として不特定多数の人間に対しても公開する以上は、ある程度の説明とオチを付けてもらわないと
気持悪いと思うのは僕だけだろうか?