ジブリ「風立ちぬ」のかんそう

宮崎駿の最新作を映画の日ということで観てきました。
驚く事に今回の映画は氏の作品にはつきものの少年少女がほとんど出てません。
ってくらいに今回は本腰をいれて「飛行機」とその時代背景を事細かに描いています。
全面で演技するキャラクターはもちろんのこと背景やモブの演技にいたるまで事細かに
2次大戦前の日本を思わせる世界を再現していました。
しかも相変わらずの手描きの動画だし、今のご時世物凄く贅沢な映像ですわ。
また、同じような大人向けな雰囲気を出していた「紅の豚」では描ききれていなかった男女の恋愛模様
この作品ではしっかりと描ききっていたのはかなりビックリした。
かなりあざとい流れでしたが、主人公夫妻の経験の積み重ねから導き出されるであろう選択だったので
物語としての完成度はかなり高かったと感じています。
説明的な要素を極力省くためにファンタジーのお話に史実に混ぜ込む構成を取っているので
近代日本史の大筋の流れを知らないと説明不足になる可能性が高いのと
「史実を間違って認識してしまう」とか文句を言うヤツが出てきそうだけど
時代劇小説の大半はこんなもんだし、モデルになった堀越氏の子孫が文句言ってないのならいいんでないかい?
とは思うのだが。





こっから本編お話が少し入るので観賞後に読む事をオススメします。










物語に関しても、個人的にここ数回の宮崎作品に感じていた「どうしてそうなるの?」というモヤモヤ感は無く
わりと上手い感じにまとめていた感じはします。
庵野氏の声は聞いているウチに慣れてきたけれど…正直、俳優業の人ならもっと良い演技が出来ていたんでないかと
知人の話では作品中の堀越二郎が「監督不行届」の庵野氏そのものだったとのことだったので
彼以外の起用は宮崎氏の中には無かったんでないかと思われます^^;
それにしても劇中のセリフ
「風は吹いているか」「ならば生きねば」
「人がその力を最高に活かせるのは10年、君はそれを思い残す事なく過ごす事が出来たか」(ちょっと違うかもw)
などのあたりはかなりグッと来てしまいました。
このセリフに合わせて先行する欧米との差を埋めようと人生を賭ける技術者たちの姿は
現代の日本に生きる若者に対する監督の辛辣なメッセージなんでしょうね。


「四の五の言う前に、お前らは本気で命がけでやり遂げようとした事があるのか」


てな感じか、書いてて心に突き刺さるわw
あと、ジブリ作品でモヤモアの原因になるラストの〆も史実がベースになっているので
監督が言わんとしている事がこれまでの作品よりは分かりやすかった。
戦中の10年の経過が主人公の外観に無かったのがちょいと不満だったけどね。
エンディングの荒井由実の曲もあざといわー、あの雰囲気でこの曲かけられたらダメだってw
サマーウォーズ」の山下達郎以来のやられた感だ、ここで涙腺が耐えられんかった。
18歳でこの曲を書いてしまった彼女の才能も凄いよなぁ。


最後にこの映画を観る前に百田尚樹氏の「永遠の0」を読んでおくとラストシーンがかなりグッときます。
ソースは俺。